まつもとあつしの日々徒然

はてなダイアリーからようやく移行しました

香川県で講演してきました

2010年10月30日の土曜日、香川県の「e-とぴあ・かがわ」というところで講演してきました。
高松駅からほど近い場所にあり、県の委託を受けた民間企業グループが運営する施設です。
県民のIT化を進める目的で様々な講座やイベントを行っており、今回お声が掛かった次第。

毎年、春と秋に特別講演が行われていて、前回はヒマナイヌの川井拓也先生( @himanainu_kawai )がUstreamの話題を中心にお話しされ、大変好評だったそうです。その後を受けて私とは恐縮だったのですが、「スマートフォンクラウドサービス」について1時間半話してきました。

前日の深夜、台風が通過したばかりで、まだ天候が良くない一日でした。実際、他の県内のイベントは中止になったものが多かったようです。それにも関わらず100名近い方にご来場頂き、予定を前倒しして遠征した立場としてはホッと一安心。

講演内容は、拙著「iPhoneGoogle活用術」をベースに、スマートフォンGoogleなどの各種クラウドサービスをどう組み合わせれば、仕事やライフスタイルが変わっていくのか、実演を交えながら解説をしていく、というものでした。

できるポケット+ iPhoneでGoogle活用術

できるポケット+ iPhoneでGoogle活用術

講演ではTwitterの活用についても少しだけ触れたのですが、後日こんなメッセージも頂きました。

講演後集計頂いたアンケートでは、大変満足・満足を合わせると、なんと88%の方が満足(不満は0%)という結果でした。
(ちょっと情報商材っぽい導入・・・笑)

講演の内容はスライドをご覧頂ければだいたい雰囲気は伝わると思いますので、それを通じて感じたことなど少し。

▼ちょっとメタな視点から

講演後の打ち上げでも話題に上がったのが、こういった公共性の高い取り組みでの、人材育成の成果を数値化することの難しさでした。

2005年前後にあった「プロデューサー人材育成」に対する関心の高まり、予算の投下、各種専門学校・大学院の新設というブームも一段落。今振り返ると、その後の成果を測ることの困難に行き当たります。一般の方へのIT教育にも通じるものがあります。

講演では高齢の方(あとで伺ったところ80代の方だそうです)が90分間「ウンウン」と頷きながら、自分のスマートフォンをいろいろ手元で試そうという姿が壇上からも見えました。現在では施設側が音頭を取らなくても、自発的にITを使った活動を行ったり、施設の運営を支援する「クラブ」が多数生まれているそうです。

世間ではいわゆる箱物行政に対する批判が根強いのですが、このような「場」が無ければ生まれなかった成果を目の当たりにしました。こういった人やコミュニティの成長をどう評価するか?その手法がまだまだ確立されていない、というのが問題かも知れません。

どうしても、行政の予算に関わる取り組みでは、予算の投下に対して、その回収の成果が求められます。これ自体は当たり前の事です。しかし、例えばプロデューサー育成でも、仮に何ら資格を与えて世に送り出したとしても、その後直ぐに大ヒット映画を自分のクレジットで生み出すことが出来るかというと難しいのです。

IT人材であれば、おそらく自分の身の回りのちょっとした情報化、プロデューサーであればまずは何らかの組織や人に弟子入りして下積みに入るでしょう。そういった成果を数字で目に見える形で問うのは難しいのです。

私が所属する研究室では、コンテンツ分野の人材育成を研究テーマにされているメンバーも居ます。その意義を改めて感じた機会でもありました。

▼IT教育からICT教育へ

ITへの習熟度を測る、という意味ではTwitterなどでの情報発信数をカウントするのも一手なのかも知れません。つまり、ツールとしてのITを使いこなした次の段階として、ITを使ったコミュニケーションの活性化を測る、ということです。

講演中の質疑応答や、講演後の受講者の方とやりとりでも、「フォロワーをどうすれば増やすことができるのか?」、「不特定多数の相手ではなく、興味関心の近い人に向けて呟きを発するにはどうすれば良いのか?」といった質問が寄せられました。 ICTに対する関心の高まりを実感したのでした。

BLOGに比べTwitterでの情報発信は手軽ですが、発信する内容や、フォロワーとのやり取りでは一方通行での情報発信に留まりがちなBLOGに対して高いリテラシーを求められます。しかしそれは本来ITプラットフォームにおけるコミュニケーションで必要とされるべきものです。

孫(まご)にパソコンで年賀状を送れた、というところから更に一歩踏み出すには、Twitterは良い題材になりそうだなとも思いました。結果、計量可能な、そういったITプラットフォームからの情報発信「数」を増加させるということにも繋がるはずです。津田さんの本にもそんな事が書いてあるはず(まだ読めていないのです・・・すみません)

Twitter社会論 ~新たなリアルタイム・ウェブの潮流 (新書y)

Twitter社会論 ~新たなリアルタイム・ウェブの潮流 (新書y)

といった具合に、東京に居てはなかなか思い至らないことにも気づかされた良い機会でもありました。
お声がけ頂き、当日綿密に準備を整えて頂いたe-とぴあ・かがわの関係者の皆様と、お越し頂いた受講生の皆様に改めて御礼申し上げます。

うどん美味かったです。