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まつもとあつしの日々徒然

はてなダイアリーからようやく移行しました

新刊ちょっとだけ紹介「スマートデバイスが生む商機」

スマートデバイスが生む商機 見えてきたiPhone/iPad/Android時代のビジネスアプローチ」という本を出しました。本から幾つかの箇所を抜粋して内容をご紹介したいと思います。

スマートデバイスが生む商機  見えてきたiPhone/iPad/Android時代のビジネスアプローチ

スマートデバイスが生む商機 見えてきたiPhone/iPad/Android時代のビジネスアプローチ

スマートデバイスとは、スマートフォンスマホという略称を耳にすることも多くなりました)やタブレット端末などを指します。
iPad2が発売されたり、Android搭載のスマートフォンが多数発売され、その活用方法に注目が集まっているところです。
パソコンと異なり、薄く軽量で、起動が速くバッテリーの持続時間が長いこれらのデバイスは個人の生活を便利にすることはもちろんなのですが、ビジネスの在り方も大きく転換しようとしています。

実はこの本、「iPadでプレゼンを行う際のワザを紹介する」とか「タブレット端末で変わるコミュニケーションの事例を紹介しよう」とか、企画が二転三転しました。既に「○○活用術」といった本は沢山出ています。しかし、どうビジネスを変えるのか、ぶっちゃけ儲かるのか(笑)についてはまだまとまった論考がそう多くはありません。そこに集中して取り組みました。

まず書籍の中で最初に取り上げたのが、ドワンゴ取締役・慶応大学SFC教授の夏野剛さんです。
夏野さんには昨年から色んなテーマでたびたびお話を伺っているのですが、外でお会いするときにもiPadだけ抱えて登場されることが多いのです。

私のように、鞄にPCが入っていないと不安な人間からすると、「ホントに大丈夫なのか」と思えて仕方なく、今回の書籍の取材にかこつけて、ものすごく素朴な疑問をぶつけてみたわけです。

結論からいうと、「かなりの場面で何とかなる」ことと「でも一方でできないことも明確にある」と思えたインタビューでした。

その「できること/できないこと」の境界線をうまく取り払っているのが、次に取り上げたソフトバンクテレコムさんの事例です。

まだまだビジネスの現場では、Windowsが主流であり、いきなりタブレット端末に移行してしまっては、既存の業務システムと連携がとれなくなってしまいます。

そこに「仮想化」の仕組みを上手く取り入れ、簡単に言えば「iPadWindows環境にアクセスして、そのまま仕事が継続できる」仕組みを整えています。個人のレベルではリモートデスクトップWindowsにアクセスできることはよく知られていますが、支給する機器の第一候補からノートパソコンを取り払ったというのは、やはり革新的な動きだと言えるでしょう。

そして、スマートデバイスソーシャルメディアとの相性の良さを最大限活用したのが、セールスフォースのChatter。もともとは、セールスフォースの製品群の一環だったシステムが、Twitterの一般化と伴い、独立したソリューションとして歩き出す様子を語っていただきました。ビジネスモデルがフリーミアムに移行していったのも興味深いところです。

ユニクロック」で一躍有名となったビルコムさんにもお話を伺っています。実はタブレット端末を活用した施策が、事業領域の1つとして成立しつつあるというのは取材してはじめて知りました。「メディア」としてもスマートデバイスが成立しつつある、その端緒を知ることができます。

ゲームの分野ではバンダイナムコゲームスさんに、既存のパッケージメディアとの相違点を聞き、その価格差をどう捉えているのか、またグループ内でどのようなシナジーを図っているのかをかなりねちっこく聞きました。数千円の商品と、無料〜数百円のアプリとでは戦い方が全く異なること、従来の組織をそれにどう適合させようとしているのか、がある程度明らかになったと感じています。

そして「教育」。タブレットPCではなかなか進まなかった教育のデジタル化がiPadなどのスマートデバイスの登場によって急速に進むかも知れません。価格、バッテリーの保ちの良さ、コミュニケーションの取りやすさなど、その利点についてデジタル教科書教材協議会副会長でもある中村伊知哉さんや、携帯研究家としても知られる武蔵野学院大学准教授 木暮祐一さんにも語っていただいています。日本のデジタル教育、アジア各国に比べても本当に遅れていて、正直焦りを感じる取材でもありました。

そして、本書の構成とは前後してしまうのですが、シャープさんにGALAPAGOSの戦略を掘り下げて伺えたのも収穫でした。私もあちこちで書いているようにサービス、特にコンテンツのラインナップではまだまだ課題が残るGALAPAGOSですが、ハード面でAndroidベースのOSが果たした役割の大きさを知ることができました。

他にも、日本Androidの会会長の丸山不二夫さんにお話を伺ったり、iPadを回転寿司の注文端末として活用する狙いを聞いたり、スマートデバイスにまさに商機を見いだした若手企業家の想いを語ってもらったりと、てんこ盛りな内容になっています。

Chapter 1
スマートデバイス」登場のインパク
iPhone/iPad/Androidで何が起こったか?

1-1 iPadで具現化したスマートデバイスの存在感
1-2 スマートデバイスに至る系譜とiPhone/iPad/Androidの上陸
1-3 個人による使いこなし術から相次ぐ企業導入へ
1-4 iPadでたいていの仕事は片付く――夏野剛氏インタビュー

Chapter 2
業務改革を実現する端末としてのスマートデバイス
クラウド化・ソーシャル化に向かうオフィス

2-1 【ソフトバンクテレコムiPadシンクライアントで社員1人月4万3000円を削減
2-2 【セールスフォース・ドットコムスマートデバイスで加速する社内コラボレーションの価値
2-3 スマートデバイス「+α」が業務改革を成功させる
COLUMN 【丸山不二夫氏】「クラウドの恩恵」で開花するスマートデバイス

Chapter 3
対話・対面端末としてのスマートデバイス
〜コミュニケーション・チャネルの新たな選択肢

3-1 【ビルコム】売上全体の10%に成長した「ブランドマガジン」戦略
3-2 【クロスドリーム】決め手はコストパフォーマンス、注文端末としてのiPad
3-3 強力なマーケティングツールは顧客の手の中に
COLUMN 【ユビレジ】iPadが「月々0円からのPOSレジ」に

Chapter 4
エンターテインメント端末としてのスマートデバイス
〜メーカーに求められる「サービス」への対応

4-1 【バンダイナムコゲームス】アプリストアで始まった「経験したことのない戦い」
4-2 【シャープ】自らサービスまで手がけるハードウェアメーカーの挑戦
4-3 メーカーに「真のネット対応」を迫るスマートデバイス
COLUMN 【NEXT FUN】「百花繚乱」Androidタブレット

Chapter 5
デジタル教科書・教材としてのスマートデバイス
〜学びのデジタル化が生む新たな市場

5-1 急がれる魅力的な教材作り――中村伊知哉氏インタビュー
5-2 【武蔵野学院大学】先行する韓国、日本の大学におけるデジタル教育の今
5-3 学びの場にも訪れるクラウド化・ソーシャル化の波
COLUMN 【リンドック】「ソーシャルラーニング」を大学教科書で目指す

Chapter 6
スマートデバイス導入期に向けて
イノベーションの本質とプラットフォームへの対処

6-1 商機の源泉はコンピューティングの「拡張」
6-2 発展途上のプラットフォームとの向き合い方
6-3 競争と協調の中からビジネスを発展させるために

正直タイトルからは、ちょっとこの中身が想像しづらい本ではありますが、よろしければ手に取ってみていただければ幸いです。また、近々この本に関するイベントも予定しています。