まつもとあつしの日々徒然

はてなダイアリーからようやく移行しました

「アニメの門DUO」でアニメの「聖地」の今とこれからを語ります

5月にYouTubeで配信した藤津亮太さんと運営する番組「アニメの門DUO」ですが、3回目を7月4日(土)21時30分から配信します。 Twitterハッシュタグ #聖地がんばれ です。番組内で皆さんからのコメントやメッセージもできる限り取り上げたいと考えています。

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https://www.youtube.com/watch?v=7tvSddO5N3M&feature=youtu.be

今回は私がホストとなり、北海道大学の山村高淑教授をお招きして「新型コロナでどうなる!?アニメの『聖地』」と題した1時間となります。緊急事態宣言の解除に伴って、観光も少しずつ客足が戻ってきていますが、一方で感染第2波の懸念は消えておらず、観光地もコロナ以前のようにお客さんを迎え入れるということが難しいのが現状です。

アニメの舞台=「聖地」各地も、この対応に苦慮しています。山村先生が代表を務める「間野山研究学会」では、5月にオンライン開催した総会で各地のアニメの「聖地」から関係者にご参加いただき、現状と今後の対応策について報告いただき、議論を行いました。そのうえで以下のような提言を行っています。

【全体を通じて】

●「ソーシャルディスタンス」という行動変容が当面求められるなか、ファンの行動も変わる。非接触観光(※人と人や場所が物理的に接触しない観光)を含めた施策の設計と研究が重要になる。

●一方で、「地域や社会、世界と結びつくための、対面に頼らないコミュニケーションチャンネルの選択肢・可能性が増した」と考えつつ、リアルとバーチャルの関係性をどう構築するかも重要な課題。

【短期的】

●フットワークが軽いのは個人。彼らの「思い」を受止められる支援の枠組み作りが重要。

クラウドファンディングなどの活用が一番に考え得るが、震災と異なり全国的に影響が拡がる中、それでも支援をするファンの愛に報いつつ収益の先食いにならないリワードの設計が重要)

自治体は「地域のためのオンライン支援」の枠組みを、地域外のファンも参画可能な形で拡張を図っていくべき。

【長期的】

●権利者(特にアニメのような製作委員会方式による大型コンテンツ)のコンテンツ面からの支援は強力であり、コロナ復興に欠かせないドライバーになる。従来の利害関係の制約を超えて、ぜひ素早い支援や地域への参画へ協力を図ってもらいたい。

【間野山研究学会「新型コロナウィルス禍を乗り越えるための提言」より】

山村先生、そして現在宮城学院女子大学で教鞭を執られる大谷尚之先生と共に、2018年に上梓した「コンテンツが拓く地域の可能性」では、山村先生のモデルを元に「アニメツーリズムのためのトライアングルモデル」を提示していますが、ファンが地域を訪れ、地域の人々と交流するという大前提が危うくなるいま、新たな枠組みが必要になっていることを強く感じています。

 

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番組では、改めて学会での報告や議論を振り返ると共に(とはいえ、堅苦しく話すつもりはないのでご安心を)、新たなモデルとその実践について語ることができればと考えています。視聴予約を頂けますと幸いです。

※2020/07/03追記

山村先生から当日資料をいただきました。その中から一枚をご紹介します。

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「聖地」に限らず、かなり俯瞰した視点から、つまり人間の営みの変化から、観光の意味の再定義、そしてコミュニケーションと経済といった内容にまでお話しが及びそうです。(1時間で足りるのか?)濃い内容になると思います。

 

 

 

 

 

藤津亮太さんとYouTube番組「アニメの門DUO」をはじめます

はてなブログの更新頻度がほぼ4半期に一度くらいのペースになってしまっていますが、お知らせです。

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藤津亮太とまつもとあつしのアニメの門DUO

アニメ評論家の藤津亮太さんとYouTube番組「アニメの門DUO」を5月1日21時半からはじめることになりました。第1回目のテーマは「緊急事態だから観たいアニメ10選」です。いま私たちは、新型コロナウィルス感染拡大に伴って、ほんの数ヶ月前には想像もしなかった状況に置かれています。書籍の世界ではカミュの「ペスト」が多く読まれるなど、物語になんらかのヒントを見いだそうとする人が増えるなか、「いま観たいアニメ」も改めて整理しておきたいと考えたのがこのテーマのきっかけとなっています。

新作アニメの放送も残念ながら延期となるものが多い中、過去に観たことがある作品でもこういった状況下で再度観ることによって、きっと様々な発見や気づき(もしかするとちょっとした希望のようなものも)得られるのではないかと思っています。私からも2作品ほど番組に持ち寄って、藤津さんと色々と語り合いたいなと思っています。

藤津×まつもとという組み合わせがなぜ生まれたのか?

「藤津ウォッチャー」ならご存じのように、藤津さんはアニメと批評を巡るネット上の議論でここ数ヶ月注目を集めていました。私も以前から「どうしてアニメの評論って少ないのだろう? 多様な評論が存在していれば、海外も含めたより多くの人たちからアニメってもっと評価されるのではないか」という問題意識を持っており、藤津さんに取材を申し込んだところ、藤津さんもわたしを番組に招こうと考えて頂いていたという幸運がありました。結局その時は藤津さんのニコニコ動画ブロマガでの番組スケジュールと折り合わず、まずロングインタビューをさせてくださいということになり、それが形になったのが先日Yahoo!個人で掲載され、一部で非常に反響が大きかったこちらの記事です。

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対面取材が行なえたギリギリのタイミングでした

 

news.yahoo.co.jp

3月半ばに行ったこのインタビューですが、まだ緊急事態宣言には至っていなかったもののすでにテレワークの動きが拡がっていた影響で、なかなか貸し会議室が押えられず、びっくりするぐらい狭い=密な空間で議論を交すことになりました。こういう対面取材、再び行なえるようになる日は来るのでしょうか……。

記事を読んでもらえれば分かりますが、文字面以上に前半は意見がぶつかる(というか、主に私の主張に藤津さんがどんどん突っ込んでくる)というなかなか緊迫感のある展開です(同席した編集さんも「ひやひやした」と後で感想を述べてました)。でもこれが、予定調和ではない着地点に至るある種のカタルシスがあるなと思ったのです。割とキレイにはじまってキレイに終ることの多い企業経営者や著名人インタビューとは違う醍醐味がそこにはあります。

「コロナ禍」の中、こういった対面取材は行い難い状況が続きます。けれどもTwitterのようなバーチャルな場でのやりとりで何か互いに関心の共通点が見いだせた時、「オンラインでちょっと話そうよ」という少し大げさに言えば新しいコミュニケーションスタイルが定着する機運も感じます。移動がなく日程調整も簡単。パッと集まって、グッと深いところまで掘り下げやすくなったという感じでしょうか。

この番組もそんな比較的新しい(というとこれまた大げさかも知れませんが、Zoomでリモートで話している様子をYouTubeLiveで流します。「中継局」にいる中の人が舞台裏で色々がんばってます・感謝!)スタイルで(番組作りという面ではずっと経験を詰まれてきた藤津さんの胸を借りながら)作り上げていきたいと思っています。詰まるところ、いまから「まつもとさんのアニメの見方はまだまだ甘い!」と突っ込んで頂けるのを楽しみにしているわけです。そこからきっと何か足場を築くことができるのではないか(とまたやや大げさに)期待しつつ。

 

コミックマーケット97参加します(12月30日月曜日 南"ム"21b)

配置は、12月30日月曜日 南"ム"21b です。

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アニメ★マナビ Vol.3.5 表紙

またまたコミケに参加します。数えてみると7回目です。最初は一人きりでコピーやらホッチキス止めするところからはじめましたが、サークル「ギルドまつもと」に参加してくれたセコンド陣の皆さま(尾崎さん村山さん菊池さん)のお陰で、ちゃんとした(?)薄い本を出せるようになりました。本当にありがとうございます。

今回は合本なのですが、すでに売り切れてしまったVol.1~Vol.3(西田宗千佳さん・数土直志さん・野口光一さんとの対談)と、日経COMEMOに連載中の「地域振興とコンテンツ」を巡る記事を再構成した内容を収めています。

note.com

なお、既刊は前回頒布の第4号です。こちらは『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』やパトレイバー30周年突破ということで再び注目が集まっている真木太郎Pにじっくりお話しを伺ったものです。業界のある一部界隈からは「パトレイバー放送時に鵜之澤さんとそんなことが」と話題にもなりました。(残り部数僅かになってます)

a-matsumoto.hatenablog.com

 

コミケが4日間になったことで、「○日目」と表記するといろいろ事故のもとのようなので、日付と曜日で案内するようにしています。前回何かと話題になった南展示場をサークルとしては初めて利用します。どんな感じになるかちょっとわくわくしています。

会場でお目にかかるのを楽しみにしています。よろしくお願いいたします。

SAO展(ソードアート・オンライン -エクスクロニクル-)に協力しました

8月4日(日)から8月18日(日)まで秋葉原UDXで開催されている『ソードアート・オンライン -エクスクロニクル-』に協力しました。

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ソードアート・オンライン -エクスクロニクル- https://sao-ex-chronicle.com/ より

原作者の川原礫先生にロングインタビューをさせて頂き、各シリーズのコンセプト、創作の悩み、キャラクターや登場アイテムに込められた思いなどを綿密に伺っています。展示ではそこで語られた言葉が、映像・設定資料・絵コンテなどと共に紹介されていました。

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インタビュー後川原先生と

インタビューは、川原先生がTRPGゲームマスターから最初はゲームデザイナーを目指していたこと、MMORPGもソロプレイが中心だったことといったところから、剣戟の世界のデスゲームを小説として描こうとした理由や、機械学習・量子脳理論といったAIを巡るテーマに創作が進むにつれてのめり込んでいった経緯など多岐に渉りました。特にSAOを通じて「ゲームを全肯定しよう」という思いを込めて物語を紡がれていったという話は、仮想現実とどう向き合うかが問われる出来事が相次いで起こっている今、大切なメッセージであると思います。

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ご提供頂いた公式写真より(※展示は撮影禁止となっています)

ソニーの全面協力のもと、全周大型スクリーンやオープンイヤー型のイヤホンによるAR体験など作品世界を楽しむテックな仕掛けが満載のイベントなのですが、そこに川原先生の「言葉」が文字として展示されるというアナログ感が逆に新鮮で、来場者も熱心に読み耽っていました。

普段インタビューは記事となることが殆どなのですが、私にとってもこうやって取材したことが「展示」になるというのは大変新鮮な体験でした。展示もハイテクであるだけでなく、シリーズを通じて重要な役割を演じる物理学者 茅場晶彦が「そこか」という場所にいるなど、作品のことをよく分かっているスタッフが企画・運営している感が随所に現れており、ファンの方ならば幸せな時間を過ごせるはずです。

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ご提供頂いた公式写真より(※展示は撮影禁止となっています)

あと数日の会期ではありますが、アキバにお立ち寄りの際は足を運んでみて頂けますと幸いです。時間を区切った予約入場となっていますので事前にチケットサイト(セブンチケット)でチケットを確保した上で向われることをお勧めします。(わたし初回はそれを忘れていて入場できませんでした……)

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会場前の行列。若いカップル(死語?)の姿も目立ちました。

このような機会を頂いたストレートエッジの三木一馬さん、ソニーアニプレックス関係者の皆さま、そして川原礫先生に改めて御礼申し上げます。

コミックマーケット96参加します※追記あり

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新刊表紙です※テキストは変更予定です

C96に参加します。新刊の表紙は引き続きうめ先生にお願いしました。

今回は、ジェンコの真木さんとの対談を中心に構成しています。日本では珍しいプロデュース専業の会社をどのように成立させていたったのか? これまであまり語られてこなかったエピソードを聞き出せたと思います。インタビューパートの目次はこんな感じです。

  • 父親は映画プロデューサー&脚本家 実は映像界のサラブレッド!?
  • ハワイで観たスター・ウォーズに感動 CM制作志望だが就職は全落ち……
  • 東北新社でポスプロ営業の日々 社長宅のプールを撮影現場にして大騒動!
  • 遂にビデオソフトの時代が到来! と同時に徹夜で字幕制作の日々……
  • 真木と宇之澤、2台の暴走車が 結果的にパトレイバーをメディアミックスにした
  • イオニアLDCの初出社日 あの『ツイン・ピークス』が待っていた!?
  • 今敏監督にパージされて12年後にわかったこと

中学生のころ夢中で観ていたパトレイバーですが、子供心にOVAとテレビが不思議なメディアミックスになっていたことをよく覚えています。その背景にはこんなことがあったのか!? とびっくりさせられたインタビューでもありました。亡くなられた盟友、今敏監督とのエピソードもグッとさせられます。

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新刊後半は稲田豊史さんによる「真木太郎 企画/プロデュース代表作品解説」も収めました。この一冊で「真木太郎の全て」……とは言いませんが、「この世界の片隅に」ではじめてこのおじさんのことを知ったという人は、これを読むと「こういう人だったのか!」と目からウロコなのは間違いないです。

会場かなり熱くなりそうですが、熱中症対策のうえお越しください。お待ちしております。

(2019/08/09 19:07 追記)

今回特製うちわの頒布も行います。

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本:1,000円
うちわ:500円
セット:1,300円

となります。

 

 

 

 

 

大学でコンテンツの教育と研究を行います

この4月より、新潟県敬和学園大学でコンテンツを中心とした教育と研究を行うことになりました。基本的に研究日には東京にいるようにしますが、打ち合わせや取材の調整などでご面倒をお掛けすることもあるかと思います。

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奥に見えるのが大学の建物(どことなく特車2課っぽい)

産学連携カリキュラム、修士課程、博士課程と途中休学も挟みながら約10年間在籍した東京大学大学院を満期退学し、より教育と研究に軸足をおいた活動をしていくことになります。

とはいえ、私の場合、インタビュー取材と研究分野は地続きになっていますので、引き続き「お話し聞かせてください」とご連絡を差し上げることもむしろ増えるかも知れません。アニメを始めとしたコンテンツ産業は引き続き環境変化が続いています。その最前線を引き続き追いかけて行きたいと考えています。どうぞよろしくお願いいたします。(コミケやマチ★アソビも引き続き参加……したいと思っております)

(以下宣伝です)教育・研究方面に軸足を置くということで、昨年度は共著で学術書の執筆に参加をしておりました。

コンテンツが拓く地域の可能性  -コンテンツ製作者・地域社会・ファンの三方良しをかなえるアニメ聖地巡礼-

コンテンツが拓く地域の可能性 -コンテンツ製作者・地域社会・ファンの三方良しをかなえるアニメ聖地巡礼-

 

コンテンツツーリズム研究の第一人者である北海道大学山村先生、そして愛媛大学でやはりコンテンツと地域振興の関係を研究されている大谷先生が企画された書籍に、コンテンツビジネスの視点から論考を行っています。

また、ソーシャルメディア方面では、法政大学の藤代先生にお声がけを頂き、アニメとソーシャルメディアの関係を、映画『この世界の片隅に』を事例として書籍の改訂に協力させて頂きました。

ソーシャルメディア論・改訂版 つながりを再設計する

ソーシャルメディア論・改訂版 つながりを再設計する

 

こちらの書籍にはやはり敬和学園大学で教鞭を執られている一戸先生マストドン本でもご一緒した小林啓倫さんも執筆陣に加わっておられます。 

これまで長く商業媒体への執筆を行ってきたため、論文・研究書の作法にはまだまだ不慣れで、先生方にはご迷惑もお掛けした面もあるのですが、研鑽しつつ引き続きコンテンツ・ITの最新動向を研究へとフィードバックする試みを続けて行きたいと考えています。引き続きご指導、ご鞭撻頂けますと幸いです。

 

 

 

 

C95参加します

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C95表紙

コミックマーケット95に参加します。表紙(↑)はまたうめ先生にお願いしました。

サークル配置は3日目J-39aです。

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インタビュー記事

今回は東映アニメーションで『来園追放』『正解するカド』などを手がけてこられた野口光一さんとの対談集となっています。CGがアニメをどう変えるのか、最前線を走って来た(でもとても語り口は穏やかな)野口さんに根掘り葉掘りお話しを伺いました。

大寒波襲来ということで、交通機関の乱れなどが心配ではありますが、ビッグサイトへお越しの際はよろしければお立ち寄りください。