まつもとあつしの日々徒然

はてなダイアリーからようやく移行しました

絶版本を探して電子書籍を想う

論文や記事の参考文献にすることが多い、こちらの本。

プラットフォーム・リーダーシップ―イノベーションを導く新しい経営戦略

プラットフォーム・リーダーシップ―イノベーションを導く新しい経営戦略

モバゲーやGREEが各方面から注目されていることもあり、「プラットフォーム」という言葉を目にする機会も増えました。私はこの本を大学院の友人に勧められてから、よく参考にしています。

ところが、うっかり某所に(あまり参照しない)書籍をごっそり預かってもらっていた中に、この一冊が含まれていたのです。

今度書く記事でも引用したいので、問い合わせたところ「見つからない」との返事。えー、そんなあ(涙)。


仕方なく、アマゾンで再購入して、今度は自炊もするか・・・などと思っていたら、絶版。
しかも、中古本には1万円以上の値段が!


さすがに1万円は無いわ、と思いながらTwitter書き込んだところ、

@a_matsumoto まだ8000円ですがここなら少しは安いです…。
http://bit.ly/9CnPCP

とフォロワーのすえきちさんから親切なコメント。(ありがとうございます!)うーん、しかし8000円かあ・・・。

「そうだ!書店の棚には在庫があるんじゃなイカ?」

と思いついて、取り敢えず手近な駒場東大生協へ。店員さんによると「本郷には一冊だけデータベースに在庫がある」との返事。すぐその場で電話してもらう。これは、競争の様相を呈してきたぞ。

電話を切った店員さん、残念そうに「やっぱりもう売り切れてしまったみたいです」

嗚呼、なんということ。もうこれは8千円の古書を買うか、それともがんばって原書を買って読み直すか・・・と途方に暮れながら店を後にしたのでした。

なんだかお腹も減ってしまったので、お店の前のベンチで菓子パンをかじっていたところ、さっきの店員さんが近づいてきます。

「あの・・・その後調べたんですが、有斐閣さんの方で重版が掛かっているみたいなんです。週明けいつ入荷するかご連絡できます」

おおお!助かった。絶版ではなくて増刷が間に合って無かったんだ!
わざわざ追いかけて来てくれた生協の店員さんに感謝。さすが最近話題を集める東大生協。やるな。

しかし、やはりオチとしては「電子書籍ならこんな苦労しなくていいのに」の一言に尽きるわけです(汗)。ネット万能の時代に、本一冊を巡ってこんな面倒がまだあるのか、とやはり奇妙に感じた土曜の午後でした。

連載記事でいろいろ取材もして、大人の事情はあるとは身をもって知ってます。
しかし、一研究者・読者としては、やはり早く何とかなって欲しいものです。

TOEIC SWの説明会に行ってきた

TOEIC(R)|TOEICスピーキングテスト/ライティングテスト

さて、今年2010年前半の目標をTOEIC800点に定めて、アルクさんの教材に取り組んで無事獲得することが出来ました。(その経緯はこちらのBLOGで)

いろんなところで書いたり、話したりしていますが、「英語でインタビューが取れるようになる」のが目的です。フェイスブックブームの到来もその一例で、残念ながらIT分野で国内の事例がますます減ってきており、海外の動向を早めにキャッチできないといけない状況にあります。

もともとのスコアがブランクもあり650点前後だったので、(僕じゃなくてアルクの教材が)すごいパフォーマンスだった訳ですが、1つ大きな課題が残ってます。

それは、リスニングとリーディングのスキルは上がったものの、スピーキングとライティングといった、発信型のスキル、運用のためのスキルがあんまりあがった実感がない、ということです。

TOEICの勉強を通じて、たとえばRSSリーダーで海外ニュースをささっと読むということはだいぶできるようになってきました。それはそれで凄く役立つものの、じゃあ、メールやテレカンなどで直接キーパーソンにインタビューできるかというと、まだ心許ない。

仕事と研究とのバランスもとりながらではありますが、このスキルを上げられる方法を模索しており、スキルチェックとして、このTOEIC SWテストに目を付けたという訳です。

今日2時間の説明会を受けて、特に良いなと感じたのは、テストの採点基準が「スペルや文法的に間違いがないか」「発音が正しいか」といったいわゆる受験テスト的なものではないところです。

CBT(Computer based test)で行われ、PC画面とヘッドフォンへの音声によって出題、回答はキーボードとヘッドセットで行うこのテスト、採点基準は例えばこんな感じだそうです。

多少の間違いがあっても意味が通じれば満点が取れる、というのはプロの翻訳家など、英語そのものを仕事にする人には正直もの足りないと思いますが、英語を道具と割り切って学習する分には非常によいゴール設定だと思いました。

ネットの普及が、英語の利用シーンを広げ、結果として英語でコミュニケーションする必要性があがったとはよく指摘されています。

楽天など企業での英語公用化はこれからも進んでいくことでしょう。それは私のような英語を苦手とする人にとっては悩ましい事態でもあります。

しかし一方で、英語を利用する人種・地域が広がったことによって、一つとてもありがたい状況の変化もあります。それが、「非ネイティブで英語を利用するスピーカーの比率が高まった」ということです。

これまで、英語がはなせる=ネイティブのような発音、立居振る舞いができる、という図式があったと思います。もっとどぎつくいえば、「仕事はできないのに、英語ができることで重宝される帰国子女」というのもまた一面の事実であった訳です。

しかし、たとえばBBCのポッドキャスト(毎日聞いてるのは「Global News」)なんかを聞くと実感しますが、現地リポートなど非ネイティブなことの方が多いのです。もう発音もぐちゃぐちゃ、いわゆるJapnese-Englishも綺麗に聞こえるくらいのインタビューもあったりします。

ついこないだまで英語学習者の悩みだった「発音」から、かなり解放されるというのは、逆に日本人にとっては大きなハードルが一つ取り除かれることではないかな、とおもったり。

そんなことを改めて確認できる機会でもありました。

1万円弱ということで、普通のTOEICテストよりもちょっとお高めですが、スケジュール調整して受けたいと思います。また経過・結果などこのBLOGで記録していきます。

(終了迫る)栗本薫/中島梓展 〜書くことは 生きること〜

栗本薫・中島梓(1953年2月13日 – 2009年5月26日 Wikipedia)

今月26日までと会期終了が迫っているが、表現に関わる人、それを生業とする人、それを目指す人には是非おすすめしたい。

個人的には、栗本氏の作品との出会いは、評論「コミュニケーション不全症候群」だった。1991年の著作だが、現代に通じる若者の悩みとその処方箋を鮮やかに描き出していた。私自身もその着眼点や、考察の進め方にはたぶんに影響を受けている。

弥生美術館はとてもこじんまりとした建物だ。
東京大学の裏手(根津側)にひっそりとあり、実は私もここに通い初めてから3年経ってはじめて存在を知った。

建物は木造の3階建て。その1、2階の2部屋で今回の記念展は開かれている。

1階では世界最多となる130巻を数え、栗本氏の逝去により未完に終わった「グイン・サーガ」を中心に、氏の生い立ちや、幼少期からの創作ノートも展示。

グインサーガの表紙を飾った加藤直之氏、天野喜孝氏らの原画も数多く集められ、作品を知る人なら一気にグイン・サーガの世界に引き込まれるはずだ。

2階は、栗本氏が中島梓の筆名で行ってきた評論、JUNEでのいわゆるBL作品、演劇演出、作曲など氏のあふれでんばかりの創作の数々を辿ることができる。

栗本氏は1日3時間の執筆活動で、これだけの作品を世に送り出してきたということに改めて驚かされる。ガンとの闘病を綴ったノートの最後のページまで、表現者としてのエネルギーは尽きることは無かった。

私たちがこの世にある間に、果たしてどのくらいの物事を表現して、影響を与えることが出来るのだろう?表現するということに対して、逡巡・躊躇することなど些かも意味を持たない。「書くことは生きること」というタイトルを裏切らない企画となっている。

文京区弥生美術館で9月26日まで開催。

VOXからはてなに引っ越します

2006年からVOXでPMDiaryなるBLOGを細々と続けていましたが、今月いっぱいでサービスが終了するとのことで、はてなに入村することにしました。

これまではブックマークの方でお世話になっていましたが、ダイアリーを自分でつけるのはこれが初めてです。

デジタル系のコンテンツ作りや、IT方面の記事を書くのを仕事にしています。

はてなについては、川崎さんへのインタビューをしたこともあります。

そこで伺ったはてなの活用術を少しずつですが実践したいと思ってます。

ふつつかものですが、どうぞよろしくお願いいたします。